国産ピアノ
輸入ピアノ
ピアノに魅せられ、ピアノ造りに人生をかけた匠のブランド
ディアパソン
インターネットの普及と共に、改めて評価が高まってきたのがディアパソンです。
元来、創業と同時に音楽関係者や教育機関などでは、その品質は高く評価されており、ご愛用者の殆どがそう言った方々であったことからマニアックなピアノと言う偏ったイメージを持たれておりました。しかも、販売店の多くが小規模店や個人の調律師であったことから、堅調な販売実績を維持しつつも、幅広く浸透するまでには至っておりませんでした。しかしながら、近年のネットによる情報収集が普及する中、ディアパソンに対する興味が一気に高まり、マイナーなブランドながら素晴らしい響きをもったピアノとして驚きの声が寄せられ、話題に上がるようになりました。本来生産台数も少ないことから、常時品薄状態にあり、機種によっては受注生産とあって、約6ヶ月以上お待ちいただいているのが現状です。
さて、そんなディアパソンピアノを語る上で、欠かせないのは、
大橋幡岩氏の存在です。氏は昭和初期、当時三大メーカーとして誉れ高かった、ベヒシュタイン社の最高技師から直接技術指導を受け、日本楽器(現ヤマハ)における設計、製作、開発の第一人者として辣腕を振るい、特にグランドピアノの製造開発に尽力されました。
その後「自分の理想とするピアノを造りたい」との思いにかられて退社、自ら興したのが「ディアパソン」です。日本のピアノを世界的な水準に高めた功績は大きく、わが国のピアノ界の至宝と言われた人です。後にその功績が高く評価され1979年、勲六等旭日章が与えられました。
しかしながら、いくらいいピアノを製造したとしても、経営状態はけっして楽なものではありませんでした。そんな中、日本楽器と河合楽器から吸収合併が持ち掛けられ、悩んだ末、大橋氏は自分の思想と設計と“
DIAPASON”のブランドとを継承すると言う条件を受け入れた(株)河合楽器製作所の傘下に入ることを決断。その後70年の長きに亘って河合楽器の小会社(株式会社ディアパソン)として安定した経営を持続しておりましたが、2017年3月河合楽器の経営基盤の強化に伴い、経営統合されたものの、ワンランク上のブランドとしての位置づけで継続製造されております。
「ピアノの神様」とまで崇められた大橋氏の思想は70年の時を経た現在も受け継がれ、伝統を守り継ぐ
トラディショナルタイプ(DG-183/DU-132)と、現代の嗜好にマッチした
ニュータイプ(DG-166/DU-128)とに大別されます。そのどちらもがディアパソンであり、上品で深みのある響きに、充分な満足感が得られるでしょう。
ディアパソンピアノの特徴は何と言っても、生産から一貫して「純粋な中立音」と言う言葉に集約されます。ある出版社が発行した楽器辞典には、「大橋幡岩氏の設計で、アップライト、グランドとも素晴らしい音色を持ち、低音は特にダイナミックな音色である。ヤマハ、カワイと共に日本を代表するピアノ」と記述されています。
また、余談になりますが、我が国を代表する世界的ピアニスト小山実稚恵さんが、月刊Piano(ヤマハミュージックメディア刊)2012年4月号のインタビューの中で、「6歳の頃、家にディアパソンのアップライトが届き、ピアノを習い始めました」と述べておられます。
そして、特筆すべきは良心的な価格設定です。この品質にしてこの価格、費用対効果に優れた、私ども一押しのディアパソンピアノ。絶対的なファンを持った、まさに「こだわりのピアノ」と言えましょう。
補足
♪トラディショナルタイプ:183cm(DG-183/DG-183FやDU-132)の両タイプは、大橋幡岩氏の設計・デザインを今尚継承しつつ、深く重厚な響きを保ちながらも、時代の移り変わりと共に、その時代に求められるタッチに少しずつ微改良を加えた、同社を代表する伝統的なモデル。
♪ニュータイプ:DG-166/DG-166FやDU-128の両タイプは、自らが優秀な技術者であった三室伸二氏が、出向した(株)BPCジャパン(発売から10年間、日本に於けるボストンピアノの総卸売元)の営業統括責任者として辣腕を振るった経験を活かし、ディアパソン社の社長職(平成16年から23年まで)として就任するや、廉価でしかもボストンピアノ以上の高性能な小型ピアノの開発に努め発売されたモデルで、高い評価を受け、その結果多くの新しいディアパソンファンが誕生しました。
その後、サイズを2cm大きくしたことや、レンナーハンマーが搭載されるなど、更にグレードアップされたことで、一段とタッチが良くなり、評価が高まっております。
学研おんがく通信♪1月号」に名工、大橋幡岩氏のことが紹介されました。
高い評価を受けるディアパソン、それを裏付けるエピソード
〔その3〕
2015年、○○フィルの九州公演のソリストのひとりに抜擢された女性ピアニストA.Kさん。A.Kさんは国内外の数々の名だたるオーケストラと共演。ソロやデュオ、室内楽など幅広く活躍されている注目の演奏家です。
そのA.Kさんが、熊本公演を翌日に控えた移動日を利用して、当店ソナチネルームで3時間ほど練習されました。
2台のピアノの中からまず「ボストン」を選び1時間ほど練習された後、おもむろに隣に移られ「ディアパソン」を弾き始められました。明日のプログラムにはない、“ショパンのノクターン嬰ハ短調「遺作」”がしっとりと見事な響きで聴こえてきます。アンコール曲なのかな?と勝手に想像したりしながらうっとりと聴き入ってしまいました。その後の2時間「ボストン」に戻ることなく「ディアパソン」を弾き続けられました。
マネージャーの方がお迎えに見え、練習を終えられたA.Kさんから発せられた言葉は『このディアパソンはいいピアノですねぇ。ボストンもとても良かったのですが、ディアパソンはもっと素晴らしい!』。更に『このディアパソンと言うピアノはどこの国のピアノですか?』と。外国製と思われていたらしく、日本製であることや生い立ちなど簡単に説明しますと『ごめんなさい、存じ上げなくて、、、』と申し訳なさそうに、『今日はとっても素敵なピアノで練習できてほんとに良かった』と満足げに帰られました。翌日の本番で演奏された「モーツァルトのピアノ協奏曲20番」はことの他感動的なものとなりました。公演終了後、主催者の実行委員長からも『昨日はA.Kさんがとっても喜んでらっしゃいましたよ、ディアパソンを凄く気に入られたみたいだね』。CDを早速購入したのは言うまでもありません。
〔その2〕
当店ソナチネルームでは、著名ピアニストによるプライベートレッスンや練習会場として利用されていることは別項でもご紹介の通りですが、そんな中のお一人で、パリを拠点にソロや室内楽奏者として、また指導者として大活躍されている女性ピアニストがディアパソンを使って練習されました。
数時間練習された後、お帰りになる際、「いやぁ、ディアパソンがこんなにいいピアノだとは思わなかったワ」と。更にショールームに展示中の別のグランドピアノもさらっと弾かれ、「あぁ、これもいいわねぇ、こんなにちっちゃいのに・・・」とすっかり感激されたご様子。「ねぇパンフレット戴けないかしら」とおっしゃったのには驚きました。恐れ多い著名な方のお言葉に、天にも昇るほどこちらが感激してしまい、もっとお話がしたかったのですがお付きの方に急かされてお帰りになりました。
それからも幾度となくお出でになられては、決まってディアパソンを弾かれます。
〔その1〕
数年前、コンサート本番を翌日に控えたハンガリー出身で、小さい頃から天才として騒がれた若きピアニスト、「チャバ・キラーイ」氏が当店のソナチネルームで3時間程練習致しました。同氏は2台の内、ディアパソンのグランドピアノを選び練習した後の氏との会話です。
「このピアノは素晴らしい、いくらするんだ」と。私が日本円で150万円位だ、と答えますと「ヨーロッパでも手に入るのか」と聞き返します。「日本国内だけでしか販売していません」と申しますと、「是非ともパンフレットが欲しい、国の友人達に紹介したい」と。勿論日本語で書かれたカタログですので、何が書かれているのか理解できる筈もありませんが・・・。
ヨーロッパの響きを持つディアパソンならではの評価が得られました。
スタインウェイと並ぶ世界2大名器のひとつ。
ベーゼンドルファー
外国のピアノと言ってすぐ思いつきますのは、スタインウェイ〔ドイツ製とニューヨーク製がありますが、日本ではドイツ製が配給ルートとなっています〕とベ-ゼンドルファー(オーストリア製)でしょう。
その他にベヒシュタイン、ブリュートナー(共にドイツ)、プレイエル(フランス)、更にはシュタイングレーバー、シンメル(以上ドイツ)、ペトロフ(チェコ)、ファツィオーリ(イタリア)等、ヨーロッパのピアノは概ねどれも素晴らしいピアノだと思います。
特に音色についてはそれぞれ特色を持った個性的で好みが分かれるところでしょう。ただ、タッチについて言えることは、ヤマハの軽さに慣れてしまい、それを世界基準だと思ってる方には、メーカーや機種にもよりますが幾分重たく感じてしまい“弾きにくい”等と形容する方もいらっしゃるようです。ちょっと寂しいですね。
中でも私個人的には“ベーゼンドルファー”が大好きです。実際販売して私の30年間の「ピアノ観」が変わってしまったくらいです。1年2年と使用と共に経年変化して育って行く過程が何とも楽しいピアノです。ベーゼンドルファーはピアノ全体を響板の延長と考え、ケースや支柱までが響鳴板と同じ材質(フィヒテ材)が使用され、年数と弾き込みによってどんどん熟成されより豊かな響きを醸し出すようになります。まさに弦楽器の発想と同じなのです。もの凄く表現力の幅を持ったピアノだと思います。
フレームで鳴らすと言われるスタインウェイとは根本的にコンセプトが違います。また、頑なまでに量産、量販を指向しないのも魅力のひとつでしょう。
一旦好きになったら嵌まってしまいます。